HiHiの雑多な本棚

本の感想と、お金の話。

円居 挽『日曜は憧れの国』(創元推理文庫)

カルチャーセンターの料理教室で同じ班になった4人の中学二年生の女の子、千鶴,桃,真紀,公子。性格も外見もバラバラな彼女たちは教室で起きた盗難事件を推理したことがきっかけで仲良くなります。無料体験チケットの残りを同じ講座で使うことにした4人は、カルチャーセンターで起こる様々な出来事を推理しながら仲を深めていくのでした。

日常系ミステリですね。あからさまな「探偵役」がいないということが特徴的だと思います。4人で意見を出し合いながら推理を組み立てるので、間違ったり的外れな意見が時々出るのが自然な感じがして好みでした。
謎解き要素は弱めで、4人が絆を深めあうのを描くのがメイン。『ひだまりスケッチ』や『きんいろモザイク』のように最初から意気投合して皆仲良し……というわけではありません。お互いの第一印象も決して良いとは言えず、意見のぶつかり合いもあったりと、ギクシャクしています。

5本の短編で構成されていて、それぞれのお話で一人一人にスポットが当たる感じ。「自分自身をどう思っているか」と「他の3人がどう見えているか」が語られます。それらを統合すると、各キャラの内面や取り巻く環境が少しずつ分かってきます(同時にお互い避けていたり、ほとんど話をしていないペアもあったりするのが分かります)。最後の短編は……ネタバレになりそうなのでやめておきますw

日常系ミステリなのは間違いないのですが、多面的な読み方ができる作品だと思いました。意味深なタイトルにも隠された謎があると思っています。
作者があとがきで書いている通り、人生を助けてくれる何かが見つかったりするのかも!?