HiHiの雑多な本棚

本の感想と、お金の話。

泉鳴巳『琥珀色のレミニセンス』NI-BOOKS

受験戦争を乗り越えて晴れた大学生となった主人公。しかし、大学に入ってもこれといってやりたいこともなく、サークルにも入らずアルバイトもせず、暇を持て余していました。ゴールデンウィークにも特に予定が無かったので、何をしようかと考えながら自転車で海岸沿いを走っていると、小さな喫茶店を見つけたのですが……。

ミステリアスなヒロインが魅力的で、恋する主人公に共感できます。 二人のやりとりも面白く、楽しく読むことができました。 主人公が卒業してからの展開も、すごくハラハラしながらページを繰りました。 レミニセンスというのは、記銘した直後よりも、一定時間が経ってからのほうがよく記憶を想起できること……だそうで。あぁなるほどなと思います。 ラストはちょっと残念で……なんというか、無難なところに落とし込んだなぁという印象。

続編は、かなり時が経ってから、一人の女の子が……というお話。この女の子にも非常に共感できて面白かったです。

他にも短編がいくつか収録されています。笑えたりシュールだったりと色々。ただ、どれも相当短いので、表題作と続編がメインで短編はオマケというところでしょう。

雰囲気はすごく好きなんですが、表題作のラストがご都合主義なのがちょっと残念でした。