HiHiの雑多な本棚

本の感想と、お金の話。

ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』(岩波文庫)

まずはこの本の出会いから書くのがふさわしいように思います。“こぐちさん”という読書好きの少女から紹介されたのですが、「ハードカバーで読んでください」と強く言われたこともあって、電子書籍ではなく、図書館から借りることにしました。申請書を書いて…

辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― 表紙から、きちんとした文学作…

はしゃ『さめない街の喫茶店』(イースト・プレス)

ある日突然、眠りから目覚めることができなくなった主人公のスズメは、「ルテティア」という“さめない街”に迷い込み、喫茶店「キャトル」で働くことになります。不思議な街ルテティアでの生活と、喫茶店キャトルを中心に謎に近づくストーリーになります。 ………

高倉かな『約束の花が咲くとき、僕がきみの光になる』(スターツ出版)

親友を傷つけてしまったある出来事をきっかけに声が出せなくなってしまった療養のために祖母の家に来ていた。そこで傷ついた一匹の犬を保護し、一人の青年とともに看病することに。その中で自分の心と向き合い、少しずつ回復していくのだが……。 総じて傷つい…

田辺聖子『孤独な夜のココア』(新潮文庫)

恋は人生の熱いエッセンス。この本は、暗い孤独な淋しい夜に、あなたの凍えた心を温める熱いココア―― ココアといえば甘ったるいイメージなのですが……この本はどちらかと言うとホットビターチョコレートという感じに思えました。甘々な恋物語ではなく、起承転…

トネ・コーケン『スーパーカブ1~3』(角川スニーカー文庫)

山梨の高校に通う女の子、小熊。両親も友達も趣味もない、何もない日々を送る彼女は、中古のスーパーカブを手に入れます。 まぁ一言で言うと、主人公の女子高生が趣味に目覚めていく物語、といったところでしょうか。趣味との付き合い方とか、趣味を趣味で終…

フランシス・ハーディング『カッコーの歌』(東京創元社)

主人公の少女トリスが、池に落ちて記憶を失ったところから物語は始まります。「あと7日」意識を取り戻したとき、耳元で聞こえる声。妹のペンは主人公を偽物と言い、記憶を探るために開いた日記帳のページは破り取られ、異常な食欲が主人公を襲います。 カッ…

川村元気『億男』(マガジンハウス)

しがない図書館司書の一男は、失踪した弟の3000万円の借金を肩代わりしていました。ふとしたきっかけで手に入れた宝くじが当選。3億円を手に入れます。最初は浮かれていたものの、ネットの情報を閲覧するうちに不安に襲われ、大富豪の友人を15年ぶりに訪ねる…

宮澤伊織『裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト』(ハヤカワ文庫JA)

表題の他、三篇のお話。シュールだった1巻と比べて、空魚と鳥子の二人が裏世界探索に慣れたせいか、どことなくコミカルな展開の話が多いような気がします。「猫の忍者に襲われる」はタイトルから笑えますねw「箱の中の小鳥」はシリアスにしつつ設定が一度…

中谷美紀『インド旅行記4 写真編』(幻冬舎文庫)

映画の撮影で疲れた女優さんがインドを旅行する旅行記。プロの旅行家や冒険家ではないので、新鮮さ溢れていますがあちこち素人感覚です。私自身も一応旅行記を書いている人間で、他の人が書いた旅行記……特に素人さんはどんな感じなんだろう?と気になって図…

米澤穂信『王とサーカス』(東京創元社)

2001年に実際に起きた、ネパール王宮での殺人事件を取り込んで書かれたミステリ。この事件、未だに犯人が分かっていないらしく、真相や犯人をフィクションで創作する内容だと勝手に思い込んでいたのですが全然違っていました(>< 日本人にとっては、治安の…

川喜田 敬『そうだ、途上国に住もう!』(個人出版)

大手企業で3年間人事で働いた後、途上国であるネパールに移住した著者の体験記。第1章では「途上国に住もう」と言っている理由を、第2章ではその手段として青年海外協力隊について、第3章では実際に青年海外協力隊で2年間過ごした著者の体験を、第4章…

円居 挽『その絆は対角線』(創元推理文庫)

『日曜は憧れの国』の続巻です。無料体験チケットを全て使い切った4人ですが、カルチャーセンターには引き続き通うことにします。それぞれが興味のある講座を受講するのでタイミングも教室もバラバラにはなるものの、完全に分かれてしまうことにはならない……

円居 挽『日曜は憧れの国』(創元推理文庫)

カルチャーセンターの料理教室で同じ班になった4人の中学二年生の女の子、千鶴,桃,真紀,公子。性格も外見もバラバラな彼女たちは教室で起きた盗難事件を推理したことがきっかけで仲良くなります。無料体験チケットの残りを同じ講座で使うことにした4人…

FunnyCreative『アーマードール・アライブ4 ~いつか終わりゆく安息の日々~』(ボイジャー・プレス)

人工知能を操り人類を殺戮する謎の電子汚染現象【ゲーティア】の出現によって、滅亡の道を歩む世界。残された人類は自我を持つ人型兵器【アーマードール】を開発し、心無き機械たちとの戦いを繰り広げていた。学長の計らいで、海沿いの温泉旅館へ修学旅行に…

パウロ・コエーリョ/山川紘矢『アルケミスト 夢を旅した少年』(角川文庫)

世界中を旅することを望む主人公の少年サンチャゴは、羊飼いになる道を選びます。羊の扱いを覚え、安定した収入を得られるようになるのですが、砂漠を越えたピラミッドに自分の宝が待っているという夢を繰り返し見ます。サンチャゴはその夢を信じ、羊を全部…

宮澤伊織『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』(ハヤカワ文庫JA)

主人公の空魚(そらを)は、この世界とは別の世界への入り口を発見し何回か足を踏み入れます。“裏側”と彼女が名付けたその世界には、自分以外の人間や動物はいない……と思っていたのですが、白くクネクネする奇妙な生物(?)と遭遇したとたんに全身に力が入…

マイク・マクマナス/ヒューイ陽子『ソース~あなたの人生の源は、ワクワクすることにある。』(VOICE)

「人生で最も重要なのは、自分がやりたいこと――ワクワクすることを追求することだ」 本書の内容を一行で要約するとこれになるかと思います。他の自己啓発本にも似たようなことは大抵書かれていますが、本書の特徴的なのは、ワクワクすること“全て”に同じ量の…

水生大海『だからあなたは殺される』(光文社)

両親が離婚し父親と暮らしていた主人公は、刑事となり独身寮に入ります。母親の自殺をきっかけに高校生の妹と同居することになり、二人暮らしが落ち着いた頃に女子高生モデルの殺人事件が発生。主人公は刑事として、妹は兄を助けるために事件を調べます。次…

水野敬也『夢を叶えるゾウ』(飛鳥新社)

冴えないサラリーマンの主人公の部屋に、ある朝「ガネーシャ」と名乗る不思議な生き物が現れます。自らを神様と主張するガネーシャのコーチを受け、主人公は自らの人生を変える課題に取り組むことになるのでした。 ……という物語仕立ての自己啓発本です。主人…

Funny Creative『アーマードール・アライブ 3 ~非情の人形は悪魔の虜~』(ボイジャー・プレス)

公式のあらすじがネタバレになっているように思いますので、ここでは簡単に紹介します。サラの秘密は概ね明らかになったものの、その秘密そのものが問題になる中、強大な敵からの襲撃を受けます。状況が混沌とする中で、解決する問題もあり新たに発生する問…

幾谷正/Funny Creative『アーマードール・アライブ2』(ボイジャー・プレス)

かつての愛機との死闘を乗り越え、訓練学校で穏やかな日常を送る【愛生文楽】の前に表われた謎の少女。彼女は乗り込んだ操縦士の命を奪うと恐れられるいわくつきの機体、色欲の〈アスモデウス〉の人形知能サラだった。操縦士達が怪死する秘密を突き止めるた…

Koi『ご注文はうさぎですか?6』(まんがタイムきららコミックス)

登場するキャラの成長や変化が描かれた巻だと思いました。特にチノちゃんが大きく変わったと思います。あ、メグちゃんは身体の成長が(笑)。 ジャンルの都合で元々皆仲がよいのですが、どんどん絆が深まっていますね。高校生だったり中学生だったりなので、…

佐藤明機『パラダイスバード・クロニクル』(駒草出版)

『パラダイスバード』の続編です。ゲートを開いてからおよそ100年後の「あちら側」の世界が舞台。公式サイトには「時代は飛ぶけどいろいろないろいろを前作から引き継いでおります。 」とありますが、前作の登場人物はほとんど出ません。続編なので設定が…

荻原規子『RDG レッドデータガール6 星降る夜に願うこと』(カドカワ銀のさじシリーズ)

ネタバレになりそうなので、あらすじは割愛です。最終巻ということで、通しての感想を。 それぞれの巻できちんと起承転結があり、引き込まれるように一気に読んでしまいました。文章や展開が丁寧で分かりやすく、特に低年齢の方には読みやすいだろうと思いま…

米澤穂信『リカーシブル』(新潮社)

主人公の少女ハルカと弟のサトルは、母の生まれ故郷の町に引っ越すことになります。この町に住むのは初めてのはずなのに、弟のサトルが「この場面は見たことがある」「こうなることは知っていた」と繰り返します。他にも奇妙な出来事が立て続けに起き、調べ…

岸見一郎/古賀史健『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社)

『嫌われる勇気』の続編。物語的には続きですが、内容的には補完するという感じです。前作の引用が多く、読んでないとついていけないでしょう。議論は更に過激になり、青年の言葉遣いも荒いです。対する哲人の返しも厳しいです。アドラー心理学で言う「幸福…

ロバート・F・ヤング/伊藤典夫『たんぽぽ娘』(奇想コレクション)

ロバート・F・ヤングの作品の中から、ボーイミーツガールを中心に選んだ短編集です。 ジャンルとしてはSFになるようですが、ファンタジーに近いと感じました。驚いたのは、1960年代~1980年代にアメリカ人の作者によって書かれた作品にもかかわらず、2010…

荻原規子『RDG レッドデータガール4 世界遺産の少女』(カドカワ銀のさじシリーズ)

生徒会執行部の一員として学園祭の準備に追われる泉水子は、衣装の着付け講習会でモデルを務めることになる。講習会は何事も無く終わったのだが、直後に姫神が憑依。元に戻そうと懸命に対応する深行に、衝撃の事実を語るのだった。 遂に姫神が顕現! これま…

荻原規子『RDG レッドデータガール3 夏休みの過ごしかた』(カドカワ銀のさじシリーズ)

学園祭の準備企画で、夏休みに泉水子たちは長野県の戸隠で合宿をすることになります。多少ギクシャクしつつも和やかに過ごしていたのですが、ルームメイトの真響(まゆら)の弟である真夏(まなつ)に、愛馬が危篤との情報が入ってから事態は急変。泉水子た…