荻原規子『RDG レッドデータガール6 星降る夜に願うこと』(カドカワ銀のさじシリーズ)
ネタバレになりそうなので、あらすじは割愛です。
最終巻ということで、通しての感想を。
それぞれの巻できちんと起承転結があり、引き込まれるように一気に読んでしまいました。
文章や展開が丁寧で分かりやすく、特に低年齢の方には読みやすいだろうと思います。
泉水子や深行をはじめキャラクターも魅力的で、飽きることは無かったです。
ただ、ちょっと残念なのは巻数の制限もあってか「世界の破滅的運命を回避するには、泉水子が普通の学園生活を送る必要がある」という設定を前面に押し出せなかったという点です。
泉水子を隠そうとする勢力と、能力を目覚めさせて表に引きずり出そうとする勢力とのやり合いみたいなのがもう少し読みたかったですね。
気まぐれに姫神が顕現してメチャクチャになる……というのも楽しそうです。
(姫神の出番が4巻以降全く無しというのは個人的には不満でした)
5巻の学園祭も、もっとはっちゃけても良かったと思います。もしかすると作者はそういう展開が苦手なのかもしれません。
ラストは……個人的にはちょっと綺麗過ぎという印象。
ただ、この本を手に取るのはほとんど未成年の女の子であることを考えると、このぐらいで良かったのでしょう。
作者あとがきで書いてあったように、泉水子の「はじめて物語」と捉えるなら、無難ではありますが上手い落とし所だと思います。
私のような男性には少し物足りない部分もありましたが、とても良質な物語だったと思います。