HiHiの雑多な本棚

本の感想と、お金の話。

円居 挽『その絆は対角線』(創元推理文庫)

『日曜は憧れの国』の続巻です。無料体験チケットを全て使い切った4人ですが、カルチャーセンターには引き続き通うことにします。それぞれが興味のある講座を受講するのでタイミングも教室もバラバラにはなるものの、完全に分かれてしまうことにはならない……はずだったのですが、メンバーの一人、桃からのコンタクトが無くなって……という感じで始まります。

タイトルに「対角線」と入っていることから分かる通り、波長が合わない千鶴と真紀がペアになることが多いです。もちろん桃と公子の出番も十分に確保されていますが、誰かとペアというわけではなく単独での話だと思いました。ぶつかったり喧嘩したりしながらも成長し変わっていくのを見るのは楽しいですね。

日常系ミステリで、それぞれの短編で4人が謎を解き明かしていくという流れは変わらずです。「エリカ」というモブキャラが通しで登場。最後のお話で彼女の謎が解かれることになります。エリカはキャラ付けが若干無理やりに思えていて作者らしくなく少々不快だったのですが、こういうオチなら納得ですw

4人の微妙な関係が最終的にどうなるのか楽しみだったのですが、完結とも続くとも受け取れる感じで終わっていました。続きが出るなら読みたいですね。

最後に補足というか蛇足w
作中で小説講座の講師が「あなたの創作活動には限りある人生を費やす価値がありますか?」という問いを発するのですが、創作者の端くれとしてここで答えを書いておきたいなと。
「創作することで作者の人生が充実するなら、人生を費やす価値はある。作品の出来栄えは関係ない」というのが私の意見です。まぁ公子のようにプロを目指しているのであれば、捉え方は変わってくるのでしょうが……。