HiHiの雑多な本棚

本の感想と、お金の話。

岸見一郎/古賀史健『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社)

『嫌われる勇気』の続編。物語的には続きですが、内容的には補完するという感じです。前作の引用が多く、読んでないとついていけないでしょう。
議論は更に過激になり、青年の言葉遣いも荒いです。対する哲人の返しも厳しいです。
アドラー心理学で言う「幸福」というのは、「おいしい物を食べて幸せ」とか「猫をモフモフして幸せ」というのとは全く異なるように思います。それが何なのか……については、今の私には理解できません。しかし、到達するのが非常に困難な「遥か遠い理想郷」だというのは、良く分かりました。前作で「人は誰でも、今この瞬間から幸福になれる」というのは、「幸福に向かって歩き始めることができる」と言い換えたほうが良いように思います。
以下に、印象的だった一文を引用します。ただ、ネタバレを避けるために「人生最大の選択」については伏せます。

・互いのあいだに尊敬が存在しないのなら、そこには人間としての「関係」も存在しないでしょう。そのような組織は、たんなるネジやバネ、歯車のように「機能」としての人間が集まっているに過ぎない。機械のような「作業」はこなせても、人間としての「仕事」は誰にもできないのです。

・変化することとは、「死そのもの」なのです。

・人間は誰もが「わたし」という物語の編纂者であり、その過去は「いまのわたし」の正統性を証明すべく、自由自在に書き換えられていくのです。

・「悪いあの人」「かわいそうなわたし」→「これからどうするか」

・自分の人生は、日々の行いは、全て自分で決定するもの

・誰かに勝つ必要などない。完走できれば、それでいいではありませんか。

・他者からの承認を求めるのではなく、自らの意思で、自らを承認するしかないでしょう。

・我々にとっては、なんでもない日々が試練であり、「いま、ここ」の日常に、大きな決断を求められているのです。

・運命の人は、いない