HiHiの雑多な本棚

本の感想と、お金の話。

庵田定夏『アオイハルノスベテ』(ファミ通文庫)

「輪月高校」という高校に在籍する生徒だけが知覚できる超能力のような力、シンドローム。その力を使われて、主人公は3年分の時間を巻き戻され、3年分の記憶もほとんど失ってしまいます。しかも、時間を巻き戻した張本人から「あなたはどうやっても卒業を待たずに死ぬ」と伝えられていました。待ち受ける死の運命やシンドロームを巡る波乱に翻弄されながら、主人公はとにかく「今」を変えようと奮闘を始めます。

序盤は「シンドローム」という中二病めいた設定や、○年間を繰り返すという使い古されたネタに辟易してしまったのですが、中盤以降は引き込まれて楽しく読めました。鬱々とした主人公が吹っ切れるさまがなかなかに面白いです。 過去も未来も無く「今」を生きるという点には大いに共感しました。 結局、どういうふうに終わるのか興味があったのですが、謎を残したまま続巻です。 図書館で借りた本なので値段に対してどうこうという話は無しですが、続きをお金を出して購入するか……と言われるとちょっと微妙ですかね。