HiHiの雑多な本棚

本の感想と、お金の話。

米澤穂信『リカーシブル』(新潮社)

主人公の少女ハルカと弟のサトルは、母の生まれ故郷の町に引っ越すことになります。この町に住むのは初めてのはずなのに、弟のサトルが「この場面は見たことがある」「こうなることは知っていた」と繰り返します。他にも奇妙な出来事が立て続けに起き、調べていく中で過去と未来を見通す「タマナヒメ」について知ることになるのでした。

あからさまにホラーめいた出来事があるわけではないですが、不気味なお話です。最初はホラーかと思い込んでいて、どんなオチをつけるつもりなのか皆目見当がつかなかったのですが……米澤さんらしい見事な本格ミステリでした。
読者に分からないように伏線を張り、ほとんど全てを回収して結末を付けるのは見事としか言いようがないですし、暗鬱とした展開なのにハルカが頑張ることで比較的後味が良いラストなのも良かったです。
しかも、伏線のいくつかをわざと残してホラー要素を完全に潰さなかったのが好感が持てました。

中学一年生のハルカが切れ者過ぎるようにも思いますが、まぁ米澤さんの探偵役は学生でも頭が切れるのは毎度のことですし分かっていれば気にはならないですね。

ひぐらしのなく頃に」が好きな方なら、一度読んでみるといいのではないでしょうか。異なる部分は多いですが、雰囲気的には近いんじゃないかと思います。