HiHiの雑多な本棚

本の感想と、お金の話。

宮澤伊織『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』(ハヤカワ文庫JA)

主人公の空魚(そらを)は、この世界とは別の世界への入り口を発見し何回か足を踏み入れます。“裏側”と彼女が名付けたその世界には、自分以外の人間や動物はいない……と思っていたのですが、白くクネクネする奇妙な生物(?)と遭遇したとたんに全身に力が入らなくなり、絶体絶命のピンチに。そこに現れたのは金髪でスタイル抜群の美人、鳥子(とりこ)でした。

一言で書くと異世界探検モノです。特定の場所が異世界に繋がっていて、現実世界と行き来しながら物語が展開します。異世界には現実の怪談を元ネタにした怪異が待ち受けています。主人公の空魚(そらを)と鳥子(とりこ)そしてもう一人の小桜が、それぞれの目的で探検するという内容。

タイトルにピクニックとあるので、ライトな物語を期待したのですが、探検は結構ハードです。ていうか、表紙にアサルトライフルと拳銃を構えた女の子が描いてあるんだから気付けよって話ですが。
いくら手に入るものがあるからって、何でこんな危険な場所に?と思っていたのですが、物語が進んで理由が明かされるとまぁ納得というところ。結局のところ、友情物語なんですね。
SF系のハヤカワ文庫というだけあって、設定も割とキチンとしていますし、難解な世界観ながら説明は上手いです。

異世界という舞台を上手く使っていて、まるで子供のように友情を深める二人が好ましいです。
気に入った作品で、2巻を入手済みです。